人工中絶手術は、母性の生命健康を保護することを目的とした法律(母体保護法)に基づいて行われています。
人工妊娠中絶手術について
さまざまな理由があって妊娠を継続できない時に、子宮内の内容物を人工的に摂りだすことを人工妊娠中絶手術といいます。この手術を受けられるのは法律で妊娠22週未満と定められていますが、当院では妊娠初期である11週までの手術を行っています。なお、原則として妊娠11週を越えている場合には入院が必要になる場合がありますので、信頼できる他の医療機関をご紹介しています。
妊娠周期は最終月経のはじまった日に起算されますので、生理の遅れなどで妊娠に気付く時期は4~7週あたりが多くなっています。市販の妊娠検査薬はかなりの精度で妊娠判定可能ですが、子宮外妊娠の判断などはできませんし、最終月経から算出されたの妊娠周期は実際の状況とずれがあることも珍しくありません。安全性の高い手術は6~10週に受けることが重要ですので、妊娠の可能性があったら早めに婦人科を受診してください。手術に迷いがある場合は特に、まず専門医に話を聞いてから決断することをおすすめします。
人工妊娠中絶手術と流産手術の違い
人工妊娠中絶手術と流産手術は、処置自体は同じですが、目的が異なります。流産手術は、胎児の心臓が止まっているなど、すでに妊娠の進行が止まっている際に行う手術です。いずれ必ず起こる流産を、できるだけ安全に、人工的に行うことを目的としています。流産の兆候前に手術することで、出血量や痛みを軽減し、母体を守ります。
母体保護法とは
母体保護法は、母性の生命健康を保護することを目的とした法律であり、そのために一定の条件をそなえた場合には人工妊娠中絶手術を受けられるよう定めています。
母体保護法第1項では、下記に該当する物に対して母体保護法指定医が本人および配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができるとしています。
- 第1号
- 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれがあるもの。
- 第2号
- 暴行若しくは脅迫によって又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの。
また、第2項では、同意について以下のように定めています。
第2項
前項の同意は、配偶者が知れないとき、若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者が亡くなったときには本人の同意だけで足りる。
妊娠週数の数え方
妊娠週数は妊娠した日ではなく、最終月経のはじまった日を0週0日として、7日で1週と数えます。排卵や受精は妊娠2週頃になり、着床するのは妊娠3週頃になってからです。そのため、生理の遅れに気付いた時期には、すでに妊娠5週以降になっていることがほとんどです。